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浅沼太郎(長楽庵)の個人ブログです。読者に学生を想定して、好きな作品をもとに綴っています。

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長楽庵(浅沼太郎)の個人ブログです

自分の貢献が生きやすい社会をつくると信じたい−山口揚平『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』

人と関わるあの魅力を、どう表現すればいいのだろう。

自分で踏み出して仕事をする楽しさ、やりがいの正体は何だろう。

学生時代に取り組む価値のあるものを見つけるには、どうすればいいだろう。

こんなことを考えているときに、参照した本の紹介です。

 

著者は、お金を「外部化された信用」と表現します。

お金を絶対視しないで仕組みに目を向ける。そして「何を交換しているのか」に着目します。

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お金を介さずに本来の意味や価値をそのまま生で伝える有機経済(オーガニック・エコノミー)を考えるとき、僕たちは、人が何かを得る仕組みの本質についても考えさせられる。

今の経済の主軸は、give & take、つまり、与えた価値の対価を直接受け取るというもので、その媒介としてお金が使われている。166,168ページ

 

これは馴染みのある感覚です。

働いて、お金という報酬を得る。

お金を使うときは(大事なお金ですから!)、自分が損をしないように、あわよくば少しでも得するようにという意識が働きます。

この仕組みだと、価値を見極めてから与えよう(お金を使おう)とする。どうしても慎重になります。損をしたくないので。よく分かります。

ここで何か問題があるとしたら、自ら受け取れるものを制約してしまうことです。

著者は、価値(バリュー)と信用(クレジット)をキーワードに、自分から先に価値を提供する可能性を解説します。

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しかし、文脈を残した価値交換経済である有機経済が進むにつれて、誰かに与えた価値が、別の角度から返ってくる、give & givenという仕組みが増えるのではないだろうか。

それは、自分が価値を提供した相手本人から直接価値(貨幣)を得るのではなく、目の前の誰かに与えた価値が信用残高となって蓄積され、その価値が別の誰かから返ってくるという関係である。168ページ

 

こうやって考えてみると、お金によって交換できるもの、できないものがあると改めて思います。そもそも貨幣のもつ価値が揺らがず、絶対的なものとは信じられない。

話を元に戻します。

対人援助職に限らず、仕事の魅力、やりがいの正体は「交換している中身」を具体的に言葉にしてみると、解きほぐす糸口が見つかるのではないでしょうか。

そして、自分が提供できる価値がどこで発揮しやすいかを試してみる。フィードバックをもらって考えてみる。学生のときに取り組んでほしいことの一つです。言葉にすると陳腐ですが「楽しい」作業です。

「情けは人のためならず」「恩送り」のような、いま本気で信じている人がいるのだろうかと思ってしまうことでも、やはり大事な要素があるのだと再確認しました。

 

僕たちがやるべきは、「いかに得するポジションを見つけ出すか」ではなく、「いかに自らが価値(バリュー)を創造できるか?」を愚直に考えて実行し続けることだ。
お金はいつの世も、目的ではなく、アイデアを具現化する構成要素のひとつにすぎない。208ページ

なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?

なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?